債権回収 財産情報取得手段

債権回収のために裁判で勝訴判決を得た後、債務者が任意で支払わない場合、強制執行手続を申し立てる必要があります。
強制執行を申し立てた後、裁判所が債務者の資産を調査してくれるわけではなく、債権者が事前に債務者の資産を調査し、特定したうえで、強制執行を申し立てなければなりません。

この債務者の資産調査は簡単ではありません。

民事執行法が改正され2020年4月から施行されました。
この法改正で、債権者が債務者の資産を調査する際の法制度の実効性が改善されました。

改正点の一つは「財産開示手続」における罰則の強化です。
財産開示手続とは、債務者が、自身の財産について裁判所において陳述する、つまり、資産内容について説明する手続です(民事執行法196条以下)。

法改正前の財産開示手続では、債務者が応じない場合、または虚偽の陳述をした場合、30万円以下の過料の制裁がありました。

この過料の制裁では、実効性が低いのではないか、という指摘がありました。

これが法改正により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となり(民事執行法213条第1項第5号・第6号)、罰則が強化されました。


法改正のもう一つは、第三者に対し、債務者の資産に関する情報の提供を求める手続きの導入です。

これには3つあります。
(1)登記所(法務局)に対し、債務者が所有名義となっている不動産の情報の提供を求める。これは不動産の差し押さえ、換価を念頭においた措置です。

(2)市区町村、年金機構などに、債務者の勤務先の情報提供を求める。これは、給与債権の差し押さえを念頭に置いた措置です。

(3)銀行など金融機関に、債務者の預貯金に関する情報提供を求める。預貯金があればこれを差し押さえることになります。

第三者からの情報取得手続きについて表に整理しました。